代表者コラム
Column
天才が天才を語る!谷川九段の、藤井総太論
ビジネス陰陽師の吉川です。
昨日読んだ
「藤井総太論 将棋の未来」(谷川浩二著)が
素晴らしすぎました。
「天才は天才を知る」
今日はコチラについてお話しします。
21歳名人の谷川浩二 九段が藤井総太を語る
この本は、わずか21歳で将棋の名人位についた
谷川浩二 九段が、
藤井総太二冠について語るという内容。
谷川九段は「光速の寄せ」で一時代を築き上げ
羽生善治九段とタイトル戦をめぐって
死闘を繰り広げました。
将棋界には「天才」と言われる人が何人かいて、
(元々が将棋の天才児集団なのですが)
条件は色々あるものの、最近よく言われるのが
「中学生で四段の棋士になっていること」
今まで中学生棋士となっているのは、以下の5名。
・加藤一二三さん(引退)
・谷川浩二 九段
・羽生善治 九段
・渡辺明 三冠(名人・棋王・王将)
・藤井総太 二冠(王位、棋聖)
藤井総太二冠以外は、全員名人位を取っており
また、
全員がそれぞれの時代を築いています。
そんな谷川九段が、藤井総太二冠について語る、
という豪華な本です。
ここから、いくつか谷川九段ならではの
分析をご紹介しますね。
藤井総太二冠の将棋は面白い!
よく言われるのですが、藤井総太二冠は
「プロが見ても、アマチュアが見ても
面白い将棋」を指します。
なぜ面白いか?という分析なのですが
それは、
「藤井二冠が詰将棋が強いから」
という分析が秀逸です。
詰将棋は、実戦にはなかなか出てこない
捨て駒や飛車角が飛び交う派手な手があり、
面白いモノ。
詰将棋選手権でも連覇している藤井二冠は
局面のバランスをしっかりとりながらも、
そうした一見、読みから外してしまうような手も
採用するから、見ていてワクワクするのだ、
という分析ですね。
なるほど!
谷川九段も優れた詰将棋作家であってこその
意見だと思いました。
藤井二冠が強いのと、AIは関係ない
そして、「藤井二冠が強いのとAIは関係ない」
AI世代の申し子とも言われる藤井二冠。
世間では、AIに抵抗がない世代であり、
AIを使いこなしてあそこまで強くなった
という印象が強いでしょう。
しかしAIは他の棋士もほぼ全員が使っています。
実は、藤井二冠の真骨頂は探究心や集中力、
局面の急所を捉える力、
何事にも動じない平常心や勝負術など
極めてアナログなモノであり、
AIがなくても強くなっていた!と
谷川九段は語ります。
これも、本を読んで、なるほど!
と思いました。
(もちろんAIがあるからできるように
なったことはたくさんあります)
勝率8割と8割3分は全然違う!
さらに、
「勝率8割と8割3分は全く違う。
勝率8割は、5局指して4局勝ち。
これは調子が良ければ他の棋士も出せる。
しかし、8割3分は6局指して5局勝ち。
これは平均負け対局数が
10~15局の棋士からするとあり得ない。」
という分析にも、うなりました。
将棋のタイトル戦は8つで、
他にいくつかトーナメントがあり、
さらに順位戦があります。
(マニアックなので詳細はなしで)
優勝しないなら必ずどこかで1回は
負ける計算になるので、
棋士はほぼ必ず、毎年10-15局は
負けることになるのです。
(これは本当に知りませんでした!)
これで勝率8割3分は確かに驚異的です!
こんな素晴らしい分析が飛び交う名著でした。
さすが、「天才は天才を知る」ですね。
是非読んでみてください。