2019.08.30

吉本芸人のギャラ考察

ビジネス&マーケティング

満席なのに、ギャラがたったの4,000円!?

キングコングの西野さんの次の記事は素晴らしい!

吉本興業の騒動から学ぶ「お金」の話

簡単にまとめると、ある芸人が、品川で初単独ライブをやったときに、

「445席を満席にしてグッズも完売なのに、ギャラが2,000円(2人で4,000円)ってどういうことやねん! 取り分半々どころか、999対1!ひどい!!」

という投稿に対して、

見積もった売上は約90万円

かかった原価は、
・会場費が少なくとも65万円
・音響・照明費用で15万円
・セット費で5万円
・衣装代で3円

残ったお金は2万円しかないが、ここからスタッフの給料を払うと明らかに赤字。

それで他の売れっ子芸人の売上から制作費を回している。
だから4,000円でももらいすぎだし、芸人はこうしたコスト意識を持つべきだ、

という趣旨だ。

芸人や演者も原価計算を知ろう!

この考え方は完全に正しいと思う。

芸人はもちろん芸を磨いて面白いステージを作ることを第一に考えるべきであるものの、少しはこうした考えを持った方が絶対良いと思う。

資本社会を回すためにお金は絶対的に必要であるし、赤字でずっと続けることはあり得ないからだ。

また、単にステージが面白いだけではなく、こうしたビジネスセンスとでも言うべきものを持ち合わせた芸人が、作り手側、仕掛け側に回っているし(まさに西野さんだ!)、売れる(使ってもらえる)傾向があると思う。

なぜなら、ビジネス意識があるので、そうした視点から作り手やプロデューサー側の人と話ができるからだ。

「こういうステージがしたいけど、コストが原価がかかるから、今回は演出を変えるだけにしよう」
といった判断ができるのだ。

マーケティング上の解決策とは?

さて、上記を踏まえた上で、マーケターとしてはもう一段考察してみたい。

それは、商売上手の吉本興業が、わざわざ赤字のステージを続けることはないのではないか?ということだ。

実は単独ライブでは利益が出ないとしても、マーケティングが分かっているといくつも解決策が考えられる。

その中から、いくつか解決策を上げてみたい。

1.例え単独のライブでは赤字ギリギリでも、将来的に投資になる(その芸人の宣伝費になり、多くのファンが付く)と判断してやる

2.会場を定期的に押さえ、売れる芸人と抱き合わせで、トータルで黒字にする

会場費も定期契約をすることで低く抑えることができる。
もっと高いチケットを売れる芸人のステージを組みあわせ、トータルで黒字にする。
(定期契約なので、空で放置するよりは儲かる)

3.ライブだけではなく、コンテンツの2次販売で儲ける
(DVD販売やネットでの有料放送、映像の販売等)

4.VIP席を設置する

例えば、最前2列は、芸人との写真&握手会、食事会、グッズプレゼントなどをすることで、10倍の価格でも売れるだろう。

私が将棋の羽生名人(当時)の講演会をプロデュースした際に、一般販売チケットは3千円にしたが、VIP席を10倍の3万円で売り、何とか黒字にした。
その際には、VIP特典として、講演会最前列保証、羽生名人との食事会、必ず話せる権利、講演会のDVD、その他グッズプレゼントとした。
ファンなら「安い!」と思って買ってくれるのだ。

結局、ギャラ4,000円は安いのか?

マーケティングの手段・引き出しを持っていればトータルで黒字にすることは可能だ。

だから会場を満席にして、ギャラがたったの4000円なのか?
という感覚的な疑問はある意味正しいと思う。

なぜならそんなライブを芸人に続けさせれば、必ずつぶれてしまうし、そもそも生活できないからだ。

個人的な意見としては、吉本興業が芸人をそこまで搾取しているとは決して思わない。芸人で成功する人は本当に一握りなので、全員に目が行き届かないし、大事にすることもできないとは思う。

それよりは、芸人や作り手側が、どれだけ世の中のこと、経済的なことが分かっているか、分かろうとしているかが大事だと思うのだ。

1つのニュースを見た時に、いかに、別の視点、裏の視点から見られるかが勝負だと思う。
あなたも、色々なものの見方を身につけて欲しい。

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